プログラム医療機器|PMDA全般相談で何を質問すべき?よくある相談事項10

プログラム医療機器(SaMD)の開発は、従来の医薬品や医療機器開発とは異なる特性を持ち、専門性が高く、多くのステップが必要です。 開発者の皆様が直面する様々な疑問のうち、特に全般相談などでよく寄せられるご質問について、紹介します。

なお本ページでは、プログラム医療機器の開発の手引きで紹介されている内容をもとに作成しています。

PMDA全般相談とは

PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、開発された製品が医療機器として国(厚生労働大臣)に承認されるために必要な 「承認審査」などを担う機関です。

開発そのもの(例:プログラミング、事業戦略の立案)をPMDAが主導するわけではありませんが、 承認審査に必要な手続き、規制要件、必要な試験など、「薬事(規制)」に関する案内や相談対応が可能です。

PMDAが提供する「全般相談」は、医薬品、医療機器、再生医療等製品などの開発・承認申請を目指す製薬企業、 ベンチャー企業、大学・研究機関(アカデミア)などを対象とした、無料の相談窓口です。

これは、PMDAが実施する本格的な(有料の)相談である「対面助言」とは異なり、 その前段階として位置づけられる悩み相談や案内窓口といった制度です。

プログラム医療機器を開発したいが、どうしたらいいか?

開発の進め方(推奨ステップ)

プログラム医療機器の開発は、様々な協力機関(臨床現場、エンジニア、薬事専門家など)との調整が不可欠です。 開発を円滑に進めるため、以下のステップを推奨します。

  1. 情報収集
    まずはPMDAウェブサイトで公開されている関連ガイダンスをよくお読みください。 開発プロセス全体の流れや、規制要件(例:サイバーセキュリティ、品質管理)の概要を把握することが第一歩です。
    https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/devices/0048.html
  2. 協力体制の構築
    開発の早い段階から、臨床現場のニーズを正確に把握するための医師、 ソフトウェア開発を担うエンジニア、薬事申請のノウハウを持つ専門家など、 必要な協力機関や専門家との連携体制を築くことが成功の鍵となります。
  3. PMDAへの相談
    開発の過程で生じた薬事的な疑問点(例:自社製品が医療機器に該当するか、必要な試験は何か、申請区分はどれか)については、 PMDAの各種相談制度(全般相談、医療機器プログラム総合相談など)を積極的に活用する。

開発を成功させる鍵は、早期からの情報収集と、関係各所との緊密な連携です。 PMDAは審査機関としての立場から、皆様が適切な手続きを踏んで承認を取得できるようサポートします。 まずは本Q&Aや関連資料を参考に、開発の全体像を掴んでください。

プログラム医療機器の開発の参考となるガイダンス等はないか?

プログラム医療機器は比較的新しい分野であり、開発の指針となる情報を探されている方も多いかと思います。 PMDAや厚生労働省は、開発者の皆様の一助となるよう、関連するガイダンスや通知(通達)を公表しています。

参考とすべき資料

プログラム医療機器の開発に関連する主要なガイダンスや通知がPMDAのウェブサイトにまとめられていますので、そちらをご確認ください。

  • プログラム医療機器の該当性に関する考え方
  • 開発におけるサイバーセキュリティの確保
  • ソフトウェアとしての品質管理、ライフサイクルプロセス
  • 臨床評価の考え方(特にAIを用いたプログラムなど)

ガイダンスの活用方法に関する相談

公表されているガイダンスや通知を読んだ上で、

  • この通知の、この部分の解釈について確認したい
  • 自社製品の場合、このガイダンスをどのように適用すればよいか分からない

といった、通知やガイダンスの具体的な活用方法や解釈に関する相談は、次の相談窓口で受け付けています。

  • 全般相談、同時申請相談、対面助言フォローアップ面談
  • SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)
  • 対面助言のうち準備面談

PMDA全般相談でよくある質問・相談事項

(1) 製造販売業許可や製造業登録はいつまでに対応したらいいか?

日本国内で医療機器を市場に出す(製造販売する)ためには、製品そのものの「承認」だけでなく、 事業を行うための「業許可」が必要です。プログラム医療機器も例外ではありません。

必要な許可・登録

日本で医療機器の製造販売承認を取得するためには、主に以下の許可・登録が必要です。

  • 製造販売業許可
    製品の品質管理や安全管理(GQP/GVP)を行う体制を整え、製品を市場に出す最終的な責任を負う事業者(=製造販売業者)が取得する許可です。
  • 製造業登録
    製品の設計、開発、(プログラムの場合は)主たる設計を行う「製造所」を登録する制度です。

対応のタイミング

  • 必須タイミング:
    開発した製品が「製造販売承認」を受けるまで。
  • 推奨タイミング:
    業許可の取得や登録には、申請書類の準備、都道府県やPMDAによる審査・調査など、一定の期間を要します。 そのため、「承認申請」を行うまでに取得・登録を完了しておくことが望ましいです。

申請・相談窓口

手続きの種類によって窓口が異なりますので、十分ご注意ください。

手続きの種類 担当窓口 備考
製造販売業許可 各都道府県の薬務主管課 事業所(本社機能)の所在地の都道府県
製造業登録(国内) 各都道府県の薬務主管課 製造所(主たる設計開発を行う場所)の所在地の都道府県
外国製造業登録 PMDA(医薬品医療機器総合機構) 海外(外国)で設計・開発等を行う場合。PMDAのウェブサイト(※26)を参照してください。

業許可の取得は、製品開発と並行して進めるべき重要な薬事手続きの一つです。 手続きに必要な期間を考慮し、承認申請のタイミングから逆算して、早めに準備を開始することを強くお勧めします。

(2) 開発中の製品の申請区分・クラス分類を確認したい。

開発中のプログラム医療機器が、どの「申請区分」(例:新医療機器、改良医療機器、後発医療機器)に該当するか、 また、リスクに応じた「クラス分類」(I~IV)のどれに該当するかは、開発戦略(必要な試験の範囲、申請ルートなど)に直結する非常に重要な問題です。

基本的な考え方

  • 申請区分:製品の新規性、構造、原理、性能、使用方法などに基づき、承認審査の区分(新・改良・後発)が決定されます。
  • クラス分類:人体や公衆衛生に与えるリスクの程度によって、クラスI(最もリスクが低い)からクラスIV(最もリスクが高い)までに分類されます。

確認の方法とタイミング

  • 相談窓口:「医療機器開発前相談」
    開発の早い段階からPMDAの現時点での考え方を確認することができます。
  • 相談できる内容:
    開発の早い段階で、現時点で開発者が考えている申請区分やクラス分類の妥当性について、PMDAの現時点での考え方を確認することができます。
  • なぜ早期の確認が重要か?
    クラス分類や申請区分によって、承認・認証に必要な手続き(例:第三者認証機関(NB)による認証か、PMDAによる承認審査か)や、実施すべき臨床試験(治験)の要否・規模が大きく変わってきます。 早期にPMDAと方向性を共有することで、開発の手戻りを防ぎ、効率的に開発を進めることができます。

申請区分やクラス分類は、開発前相談での見解がそのまま確定するわけではありません。あくまでその時点での情報に基づく助言です。

最終的な申請区分およびクラス分類は、全ての資料(非臨床試験、臨床試験データなど)が揃った段階で行われる**「承認審査」**において、正式に決定されます。

(3) 開発中の製品の一般的名称を確認したい。

回答のポイント:

日本の医療機器は、「一般的名称」によって分類・管理されています。 一般的名称は、その医療機器がどのようなものかを示す基本的な定義であり、クラス分類とも連動しています。開発中の製品がどの一般的名称に該当するかを特定することは、薬事手続きの第一歩です

ステップ1:自分で調べてみる(PMDAウェブサイト)

まずは、PMDAのウェブサイト(※27)で、既存の一般的名称に該当するものがないかご自身で確認してください。

  • 確認方法:
    1. PMDAウェブサイトの関連ページにアクセスします。
    2. ページの左側にある「一般的名称(検索)」あるいは「一般的名称(一覧)」を利用します。
    3. 「一般的名称(検索)」では、キーワード(例:「画像診断支援」、「治療計画」)を入力して検索できます。
    4. 「一般的名称(一覧)」では、分野別に探すことができます。
  • 確認ポイント:
    各一般的名称には「定義」が記載されています。 開発中の製品の使用目的や機能が、その定義に合致するかどうかを慎重に検討してください。

ステップ2:該当しない・分からない場合は相談する

ご自身で調べた結果、以下のような場合は、PMDAの相談制度をご利用ください。

  • 既存の一般的名称に、該当するものが見当たらない(全く新しい製品の可能性がある)。
  • 複数の一般的名称に該当する可能性があり、どれが最も適切か判断できない。
  • 一般的名称の「定義」の解釈が難しい。
  • 相談窓口:「医療機器開発前相談」
  • 相談できる内容:
    開発中の製品の概要(使用目的、機能、原理など)を提示し、どの一般的名称に該当する可能性が高いか、PMDAの現時点での考え方を確認できます。

重要な注意点

申請区分・クラス分類と同様に、一般的名称についても、最終的な決定は「承認審査」の場で行われます。開発前相談での見解は、あくまで現時点での助言であることにご留意ください。

まとめ

一般的名称の特定は、製品分類の基本です。まずはPMDAウェブサイトでの検索を試み、判断に迷う場合は「医療機器開発前相談」でPMDAの助言を得ることをお勧めします。

(4) プログラム医療機器の承認をとるために適合する必要のある規格は何か?

医療機器の承認審査では、その品質、有効性、安全性を確保するために、様々な規格(JIS、ISO、IECなど)への適合が求められることがあります。 特にプログラム医療機器には、ソフトウェア特有の規格(例:IEC 62304 ソフトウェアライフサイクルプロセス)や、サイバーセキュリティに関する要求事項など、考慮すべき点が多くあります。

基本的な考え方

  • 製品ごとに異なる:
    適合すべき規格は、製品の特性、使用目的、設計、内包するリスクによって千差万別です。 「プログラム医療機器だから、これだけ守ればよい」という単純なリストはありません。
  • 承認開発ガイダンス:
    まずは、PMDAが公表している「承認開発ガイダンス」(※Q6で言及されているものと推察)を確認してください。 ここには、個別製品によらない共通の論点や、関連する可能性のある規格が示されています。

PMDAとの議論(医療機器開発前相談)

規格への適合は、最終的に「その製品の有効性・安全性を担保できるか」という視点で評価されます。 どの規格をどのように適用すべきか、あるいは規格にない新しい評価方法が必要か、といった点は、PMDAと議論することが非常に有効です。

「医療機器開発前相談」では、以下の点を整理した上で、PMDAと議論できます。

  • 臨床的位置づけ:
    開発中の製品が、医療現場で「誰に」「どのように」使われるのか。
  • 既承認医療機器等との差分:
    既存の医療機器や技術と比べて、何が新しいのか、何が異なるのか。
  • 概念的要求事項(※)の整理:
    上記を踏まえ、この製品の有効性・安全性を評価するために、最低限クリアすべき評価項目(=概念的要求事項)は何か。
  • 評価の考え方の議論:
    それらの評価項目を、どのような試験(非臨床試験、臨床試験)や規格への適合によって示すのが妥当か。

まとめ

まずは公表されているガイダンスで基本を押さえ、その上で「医療機器開発前相談」を活用し、 自社製品の特性に応じた「クリアすべき評価項目(概念的要求事項)」をPMDAと共有・議論することが、承認への確実なステップとなります。

(5) 治験の要否|既存の医用画像データ等を用いる性能評価試験が、治験に該当しない(0929通知)か確認したい。

AIを用いた画像診断支援プログラムなど、診断用医療機器の性能評価では、 既存の医用画像データ(=過去に診断・治療目的で撮影されたCTやMRI画像など)を用いることが多くあります。 これらの試験が、薬機法に基づく厳格な「治験」として実施する必要があるのか、 あるいは「臨床研究」として実施可能かは、開発の手続きやコストに大きく影響します。

「0929通知」

  • 正式名称:
    「追加的な侵襲・介入を伴わない既存の医用画像データ等を用いた診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについて」(令和3年9月29日付け薬生機審発0929第1号。以下「0929通知」)
  • 概要:
    この通知では、一定の条件(通知の記 2 の(1)/(2))を満たす場合、既存のデータ等を用いた性能評価試験は「治験」に該当しない(=臨床研究として実施可能)という考え方が示されています。

PMDAに確認

開発者が「自分たちの試験は0929通知に該当する」と自己判断しても、規制当局(PMDA)の見解が異なるリスクがあります。

計画している試験が0929通知の条件に合致するかどうかは、医療機器開発前相談でPMDAに確認することが可能です。

相談に必要な準備

PMDAが判断できるよう、試験計画の詳細な資料(医療機器開発前相談用資料)をまとめる必要があります。

  1. 医療機器開発前相談用資料の作成:
    最低限、以下の情報を明確に記載する必要があります。
      ・どういったデータ(画像の種類、患者背景、診断名など)を、
      ・どのように(どの施設から、どのような匿名化処理をして、どのような手順で)収集し、
      ・どういった解析(評価項目、統計手法、真値(正解)の設定方法など)を実施する予定か
  2. (推奨)全般相談の活用:
    上記 1. で作成した「医療機器開発前相談用資料」が、PMDAとの議論のたたき台として十分な情報量か、論点整理に不足がないか。 この「資料の完成度」自体を、本相談である「医療機器開発前相談」の前に、「全般相談」で事前に確認してもらうことができます。

推奨プロセス(フロー)

  1. 試験計画の策定
  2. 医療機器開発前相談用の資料作成
  3. 全般相談で資料の不足がないか確認
  4. 医療機器開発前相談で0929通知該当性を本相談
  5. 相談結果に基づき試験を実施

まとめ

0929通知に該当するかどうかは、開発スケジュールに大きな影響を与えます。 自己判断せず、「全般相談」で資料をブラッシュアップした上で、「医療機器開発前相談」でPMDAと目線合わせを行うことを強くお勧めします。

(6) 治験相談等の相談資料の作成を終了しているが、治験相談等はいつ実施可能か?

治験相談(プロトコル相談など)の準備が整い、いざPMDAに相談しようという時、 どれくらい先の日程になるかはスケジュール管理上、非常に重要です。ここでは、相談実施までの一般的な目安と、最新のスケジュール確認方法についてご案内します。

一般的な所要期間(目安)

これはあくまで目安であり、申込みが集中する時期などには希望日での調整が難しい場合もあります。

  • PMDAのウェブサイトでは、相談の「日程調整依頼書」を提出してから、 相談実施までに、通常1~2か月(場合によってはもっとかかる場合もあります)を要するとされています。
  • 注意点:これはあくまで目安です。PMDA側・相談者側の関係者の予定や、申込みが集中する時期によっては、希望日での調整が難しい場合があります。

最新の「調整可能時期」を確認する方法(プログラム医療機器の場合)

プログラム医療機器に関する相談(プログラム医療機器審査部が担当するもの)については、 開発者の皆様がスケジュールを立てやすいよう、特別な情報提供が行われています。

  • 確認場所:
    PMDAウェブサイト内の「プログラム医療機器に関する情報を集約しているウェブサイト」
  • 確認内容:
    その中の「2. PMDAが実施するプログラム医療機器に関する相談について」の項目
  • 公開情報:
    「(ウェブサイト更新日)時点で日程調整依頼書を提出いただいた場合に、調整可能な治験相談等の時期」が公開されています。
  • 更新頻度:
    この「調整可能な時期」の情報は、2週間ごとを目処に更新される予定です。相談を検討している方は、定期的にチェックしてください。

「事前見解」を希望する場合の注意点

治験相談等では、相談当日の議論を効率化するため、 事前にPMDAからの論点整理や見解(コメント)を送付する「事前見解」オプションを選択できます。

  • 事前見解を希望する場合、上記のウェブサイトで「公開されている時期」は、PMDAが事前見解を送付する時期を指します。
  • 治験相談(対面またはウェブ会議)自体の開催は、その約1ヵ月後となります。

相談実施時期は、PMDAウェブサイト(※29)の専用ページで最新情報を確認するのが最も確実です。

「事前見解」の有無も考慮に入れ、余裕を持ったスケジュールで日程調整依頼書を提出してください。

(7) これから治験相談等の相談資料を作成するが、治験相談等の日程調整依頼書を提出してもいいか?

治験相談の枠を先に押さえておきたい(仮予約したい)というお気持ちは察しますが、 プログラム医療機器に関する治験相談等については、特定のお願いがあります。

回答:資料作成が終了してから提出

現在、プログラム医療機器審査部が担当する治験相談等は、多くの開発者様から実施希望をいただいており、大変混み合っております。 そのため、「相談者として(PMDAに提出できる状態の)相談資料の作成が終了してから」日程調整依頼書を提出していただくようお願いしております。

なぜ「資料先行」がダメなのか?

限られた相談枠を、相談希望の皆様で公平かつ有効に活用するためです。

  • 「日程だけ予約したが、資料の準備が間に合わなかった」
  • 「資料を作成してみたが、まだ論点が整理できず、不十分だった」

上記のような理由で相談の申込みが「取下げ」になると、その枠で相談できたはずの他の開発者様の機会を奪ってしまうことになります。皆様のご協力をお願いします。

申込みを取下げた場合(手数料)

一度申込みが完了した治験相談等を、相談者様(自社)の都合で取り下げる場合、支払った相談手数料が還付されない(返金されない)場合があります。

還付には条件がありますので、詳細は「独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行う対面助言、証明確認調査等の実施要綱等について」(平成24年3月2日付け薬機発第0302070号)をご確認ください。

資料が不十分なまま相談した場合

「資料が不十分かもしれないが、日程が来たので実施したい」という場合、相談を実施すること自体は可能です。

しかし、その場合、以下のようなリスクがあります。

  • 製品に関する情報(設計、試験計画の背景、統計学的根拠など)が不足しているため、PMDAは個別具体的な助言ができません。
  • 結果として、「一般的には、こういう考え方があります」といった一般的な議論や助言に留まってしまう可能性があります。

せっかくの有料相談の機会を最大限に活かすためにも、十分な資料準備が不可欠です。

まとめ

(プログラム医療機器審査部担当の相談では)「日程調整は、相談資料が完成してから」というルールにご協力ください。 これは、相談者様自身が有意義な助言を得るため、また他の開発者様のためでもあります。

(8) 開発中の製品を医療機器(非)該当としたいが、どうしたらいいか?

「このソフトウェアは、果たして薬機法の規制対象となる『医療機器』なのだろうか?」と悩む場合があります。これは、特にヘルスケアアプリやウェルネス製品を開発する際に生じる根本的な疑問です。 「医療機器に該当する」か「該当しない(非該当)」かで、その後の開発プロセスが全く変わってきます。

しかし、PMDAの担当範囲外です。重要な点として、PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、医療機器の承認審査や安全性情報などを担当する機関であり、 ある製品が「医療機器に該当するかどうか」を判断する相談(医療機器該当性相談)は、直接は取り扱っておりません。

正しい相談窓口は、医療機器該当性に関する相談(特にプログラム医療機器の場合)は、以下です。

https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0011.html

なぜ判断が重要か

  • 医療機器に該当する場合:
    薬機法に基づき、クラス分類に応じた承認・認証の取得、製造販売業許可の取得、 QMS(品質管理システム)の構築など、厳格な規制が適用されます。
  • 医療機器に該当しない(非該当)の場合:
    これらの薬事規制の対象外となります(ただし、景品表示法や個人情報保護法など、他の法律の規制は受ける可能性があります)。

(9) 開発中の製品に関する保険戦略は相談できるか?

製品を開発し、医療機器として承認された後、それが医療現場で広く使われるためには保険適用(公的医療保険でカバーされるか)が極めて重要です。

しかし、この保険に関する相談は、PMDAの業務範囲とは異なります。 その製品に公的医療保険を適用するかどうか、いくらの価格(診療報酬・保険償還価格)をつけるかという保険適用に関する相談は、PMDAでは対応していません。

医療機器開発においては、薬事(承認)と保険(償還)の2つの大きなハードルがあります。 保険に関する相談は厚生労働省の担当部署などに行う必要があります。

保険に関するご相談は、以下の窓口にお問い合わせください。

https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0011.html

PMDAは「保険」の相談窓口ではありません。開発の早期段階から、薬事戦略と同時に保険戦略も立てておくことが重要です。保険戦略については「厚生労働省の担当部署」に相談となります。

(10) プログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目に応募したいが、どのように応募したらいいか?

画期的なプログラム医療機器をより早く患者さんに届けるため、「優先的な審査等」の対象品目を公募する制度(試行的実施)があります。

この「優先的な審査等」の公募は、厚生労働省が「プログラム医療機器に係る優先的な審査等の試行的実施」に関する通知を発出することによって開始されます。

一方でPMDAは「審査」を行う機関であり、この制度の「企画・公募開始」を決定する立場にありません。したがって、以下のご質問にはPMDAはお答えできないとなっています。

  • 「次の公募はいつから始まりますか?」
  • 「通知はいつ発出されますか?」
  • 「公募開始の時期を教えてほしい」

応募を検討されている開発者の皆様は、以下の手順でご準備ください。

  1. 厚生労働省からの通知を待つ:
    厚生労働省から関連する通知が発出されるのをお待ちください。
  2. 通知を熟読する:
    通知が発出されたら、その内容(対象品目の要件、応募手続き、提出が必要な資料など)を熟読してください。
  3. 申請者で資料を準備する:
    提出が必要な資料は、その通知に基づいて、申請者(開発者)ご自身で準備してください。

プログラム医療機器に係る優先的な審査等について、弊社では優先審査のご支援をさせていただき採択された事例もありますが、一定度の臨床成績に関する説明が必要となりますので、エビデンスなしで申請しても採択される可能性は難しいかもしれません。

(11) プログラム医療機器に求められる概念的要求事項は?

「概念的要求事項」とは、その医療機器の有効性・安全性を評価する上で、根本的に「何を」「どこまで」示す必要があるか、という基本的な評価項目のことです。これは、治験(臨床試験)の計画や、承認申請資料(STED)を作成する上での根幹となります。

プログラム医療機器(SaMD)といっても、その目的は千差万別です。 開発のきっかけとなったニーズ(臨床課題)、開発コンセプト(例:AIによる診断支援、CBT(認知行動療法)による治療)、 設計コンセプト(例:スマホアプリ、クラウドサービス)などがすべて異なるため、 評価すべき項目(概念的要求事項)もそれぞれの製品ごとに異なります。

まず大前提として、プログラム医療機器(SaMD)といっても、その目的は千差万別です。

  • 開発のきっかけとなったニーズ(臨床課題)
  • 開発コンセプト(例:AIによる診断支援、CBT(認知行動療法)による治療)
  • 設計コンセプト(例:スマホアプリ、クラウドサービス)

これらが全て異なるため、評価すべき項目(=概念的要求事項)も、それぞれの製品ごとに異なります。とはいえ、個別品目によらず、多くのプログラム医療機器に共通すると考えられる「概念的要求事項」は存在します。

表6 プログラム医療機器の概念的要求事項(例)

プログラム医療機器の種類 概念的要求事項
疾病診断用プログラム 意図した入力データに対して、本品が解析した結果を用いることで、意図した使用者の診断成績等が向上すること。
意図した入力データに対して、本品が臨床的に意義のある検出性能を有すること。
臨床上許容できる時間内で処理が完了できること。
疾病治療用プログラム 意図した使用者において、臨床的に意義がある程度に症状等を改善できること。
疾病診断用プログラムと疾病治療用プログラムに共通 その他の機能(入力や出力、画面表示等)が、意図したとおりに動作すること。
ソフトウェア開発ライフサイクルプロセスが適切に管理されていること。
サイバーセキュリティへの対応が適切に行われていること。
ユーザビリティエンジニアリングプロセスが適切に管理されていること。

上記の表の取り扱い(注意点)

  • あくまで一般的な項目です。
  • 開発中の個別製品の特性に応じて、調整(項目の追加、削除、重み付けの変更)が必要です。
  • 上記の表の項目だけクリアすれば承認される」というわけではありません。

個別製品の要求事項は、製品の特性(例:AIのアルゴリズム、使用する患者層、既存治療との違い)を踏まえ、どのような評価項目(概念的要求事項)を設定するのが妥当か。この点についてPMDAと議論し、 「医療機器開発前相談」で協議することができます。

(12) 開発中の製品に関して実施を予定している臨床的有用性を評価する試験/治験において、どの程度の症例数が必要か?

開発中のプログラム医療機器の有効性を証明するための臨床試験(治験)を計画する際、「症例数は何例くらい必要か?」は、開発コストや期間に直結する最大の関心事の一つです。

まず重要なことは、必要な症例数は「なんとなく」や「他の製品がこれくらいだったから」といった感覚的な理由では決定できないということです。

疾病診断用プログラムの臨床的有用性を評価する試験や、疾病治療用プログラムの治験においては、その有効性を「検証的」に評価する必要があります。

(=「効果があるかもしれない」という探索的なレベルではなく、「統計的に有意に効果がある」ことを証明する必要がある)

症例数設定の基本的な考え方

必要な症例数は、統計的な検出力(Statistical Power)をもって、科学的・論理的に決定される必要があります。

  • 相談すべき相手:
    生物統計の専門家
  • 考慮すべき要素(統計家と議論すべき内容):
      期待される有効性:
      開発中の製品にどれくらいの効果(例:診断精度の向上率、治療効果の差)が期待できるか。これは、探索的治験(小規模な試験)や文献レビューから推定します。
      比較対象:
      何と比較して有効性を示すか(例:既存の標準診断法、プラセボ(偽アプリ))。
      評価項目:
      何をもって「有効」とするか(主要評価項目)。
      統計的検出力:
      上記1~3を踏まえ、「偶然ではない、意味のある差(有意差)」を検出するために、統計的に何例の被験者が必要かを計算します。

上記の要素は、個別製品(対象疾患、製品の機能)によって全く異なります。

生物統計の専門家と相談して設定した「症例数の設定根拠」を含む、治験全体の計画(治験プロトコル)の妥当性について、PMDAと議論することができます。

  • 相談窓口:「医療機器プロトコル相談 治験」

治験の症例数は、生物統計の専門家と緊密に連携し、「期待される有効性」と「統計的な検出力」に基づいて科学的に算出する必要があります。感覚的な設定は認められません。その算出根拠の妥当性を含め、治験計画全体を「医療機器プロトコル相談 治験」でPMDAと議論することが可能です。

(13) 開発中の製品に関して実施を予定している臨床的有用性を評価する試験/治験における対象患者及び主要評価項目は、どのように設定したらいいか?

治験(臨床試験)や臨床性能評価試験の骨格となるのが、「誰を対象に(対象患者)」、「何を証明するか(主要評価項目)」です。この設定が不適切だと、たとえ試験を実施しても有効性を証明できず、承認が得られない(あるいは想定と異なる範囲でしか承認されない)可能性があります。

基本的な設定の考え方

  1. 開発コンセプト(概念的要求事項)に基づく
    まず、 概念的要求事項で整理した、「この製品で何をしたいのか」「誰のどんな課題を解決するのか」という原点に立ち返ります。
  2. 承認後に想定される使用を反映する
    治験は、「承認審査」のためのデータ収集です。 したがって、承認後に「実際にこの製品を使用する(と想定される)患者さん」を対象に(=対象患者)、その製品の「有効性」を評価できるような試験計画にする必要があります。

重要な注意点(治験結果が承認内容を決める)

開発者が「この患者に使いたい」と望んでも、それが治験で証明されていなければ承認されません。

承認審査を経て決定される「使用目的又は効果」や「対象患者」は、>治験で得られた「試験結果」に基づいて最終的に判断されます。

  • (例:小児を含まない治験を実施した場合、承認される「対象患者」から小児が除外される可能性が高い)
  • (例:軽症者のみで試験した場合、「重症者への効果」は認められない)

対象患者や主要評価項目の設定は、製品の特性(例:診断支援か、治療か)によって大きく異なります。

PMDAが作成・公表している以下の資料が、設定の参考になります。

  • PMDA審査ポイント:
    「医用画像の読影支援を目的としたコンピュータ診断支援プログラム」(AI画像診断支援プログラムなどを開発する際の参考)
  • 行動変容評価指針:
    (行動変容を促す治療用アプリなどを開発する際の参考)

PMDAとの相談

これらの参考資料を踏まえて作成した「治験プロトコル(対象患者や主要評価項目の設定含む)」の妥当性について、PMDAと議論することが強く推奨されます。

  • 相談窓口: 「医療機器プロトコル相談 治験」

これらを踏まえて作成した治験プロトコル(対象患者や主要評価項目の設定を含む)の妥当性については、 医療機器プロトコル相談(治験)でPMDAと議論することが強く推奨されます。

治験の「対象患者」と「主要評価項目」は、概念的要求事項に基づき、「承認後のリアルな使用状況」を反映して設定します。PMDA公表の審査ポイント等も参考に計画を練り、最終的には「医療機器プロトコル相談 治験」でPMDAと議論・確認しましょう。