遠隔心臓リハビリ支援ソフトウェア|リモハブ CR U
2025年に薬事承認された遠隔心臓リハビリの実施を支援する医療機器プログラムについて紹介します。
製品の概要
本品はオンライン環境で医療者の監視のもと、1人又は同時に複数人の患者さんに対する遠隔心臓リハビリの実施を支援する医療機器プログラムです。
同じく当社が開発した医療機器であるエルゴメータ「リモハブ cycle+」(一般的名称:非能動型展伸・屈伸回転運動装置)とウェアラブル心電計「リモハブ rhythm+」(テレメトリー式心電送信機)と組み合わせて使用することで、患者さんが医療機関に通院することなく、自宅でも有効かつ安全に医療者のオンライン監視の下、心臓リハビリを実施できるようになります。
既存治療との違い
| 比較項目 | 従来の通院リハビリ | リモハブ CRU |
|---|---|---|
| 場所 | 病院・クリニック | 自宅 |
| 心電図モニタリング | 施設内で常時 | クラウド経由でリアルタイム |
| 不整脈検出 | 施設スタッフが確認 | 自動検出・アラート |
| 複数患者同時管理 | 施設スタッフが対面 | 1人の医師が複数患者を同時遠隔管理 |
| 通院回数 | 週2〜3回 | 0回(在宅) |
居宅側のモバイルアプリから取得された、患者さんの問診情報・心電データ・運動状態データがクラウドを介して、医療機関側のWebアプリに表示されます。
医療者は患者さんの状態をリアルタイムにモニタリングすることができ、それに合わせて運動負荷装置の制御を行うことができます。
医療機器承認番号:30700BZX00131000
⼀般的名称:解析機能付き⼼臓運動負荷モニタリングシステム⽤プログラム
販売名:リモハブ CR U
製造販売業者:株式会社リモハブ
臨床試験の概要
本試験は、オンライン心臓リハビリテーションシステム(RH-01)の有効性と安全性を、通院リハビリテーションと比較検証するために実施されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験名 | 心臓リハビリテーションの適応となる心疾患患者を対象としたRH-01の有効性及び安全性を検証する多施設共同無作為化並行群間比較試験 |
| 目的 | RH-01群(遠隔)による介入が、通院リハビリテーション群に対して非劣性であることを検証する |
| 対象 | 心不全患者、および狭心症・開心術後・大血管疾患・末梢動脈閉塞性疾患患者 |
| デザイン | 多施設共同無作為化群間比較試験(非劣性試験) |
| 期間 |
介入期間:12週間(二次登録後から介入終了まで)
評価終了時点:20週目(二次登録から) |
| 機器 |
被験機器(RH-01群)
・本品(CR Core+CR Home)+リモハブ rhythm++リモハブ cycle+ 対照群 ・通院心臓リハビリテーション群(従来の標準治療) |
| 症例数 |
FAS: 103例(RH-01群: 51例、通院群: 52例)
PPS: 91例(RH-01群: 46例、通院群: 45例) |
有効性の結果
主要評価項目である「6分間歩行距離」において、FAS解析では非劣性が証明されませんでしたが、PPS解析において非劣性が示されました。
主要評価項目
| 指標 | 結果概要 | 詳細データ (RH-01群 vs 通院群) |
|---|---|---|
|
6分間歩行距離の変化量
(一次登録時から20週目終了時) |
PPS解析にて非劣性を検証
(FASでは未達) |
【FAS解析】
群間差: 2.9m (95%CI: -27.9, 33.7) 非劣性p値 = 0.061 (未達) 【PPS解析】 群間差: 9.5m (95%CI: -22.4, 41.5) 非劣性p値 = 0.023 (達成) |
【6分間歩行距離】
6分間で歩ける距離(6MWT)は、心肺機能・体力の総合指標として国際的に確立された評価法です。心不全患者では特に予後との相関が強く、32〜45mの変化が「臨床的に意味ある最小変化量(MCID)」とされています。
【非劣性試験】
新治療が「標準治療より劣っていないこと」を証明する試験。「非劣性マージン(許容できる差)」を事前設定し、その差を超えないことを示します。本試験では -23m(通院群より23m以上悪くなければOK)が設定されました。FASでは95%CIの下限が -27.9m となり -23m を下回ったため未達、PPSでは -22.4m となり -23m を上回ったため確認、という結果です。
副次評価項目
| 指標 | 結果概要 | 詳細データ (RH-01群 vs 通院群) |
|---|---|---|
|
Peak VO2の変化量
(最高酸素摂取量) |
両群で改善が見られ、群間に有意差なし |
FAS群間差: -0.13 ml/min/kg
PPS群間差: 0.06 ml/min/kg |
| リハビリ実施率 | 両群とも同程度 | RH-01群: 69.0% vs 通院群: 68.4% (FAS) |
| 通院回数 | RH-01群で有意に減少 |
RH-01群: 平均8.5回
通院群: 平均28.3回 (p<0.001) |
| リハビリ成功率 | RH-01群で高い成功率 | 98.8% (95%CI: 97.9, 99.7) |
|
その他指標
(筋力, BNP, QOL等) |
有意差なし | 膝伸展筋力、NT-proBNP、SF-36、HADS等は両群で改善し、差は認められず |
安全性の結果
有害事象の発現率に大きな差はなく、遠隔リハビリテーションの安全性が確認されました。
| 項目 | 結果概要 | 詳細データ |
|---|---|---|
| 有害事象 | 両群で発現率に明らかな差なし |
RH-01群: 49.1% (26/53名)
通院群: 35.7% (20/56名) |
| 主な有害事象 | 軽微なものが中心 | RH-01群で5%以上発現したのは上咽頭炎、浮動性めまい |
| 重篤な有害事象 | RH-01群で少ない傾向、機器との因果関係なし |
RH-01群: 7.5% (4名) vs 通院群: 14.3% (8名)
※RH-01群の内訳は心不全、肺炎等だが、機器との因果関係は否定 |
| 機器の不具合 | 健康被害につながる不具合なし |
不具合発生率: 11.3% (6/53名)
内容: アプリのクラッシュ、動作不良等で、健康被害や有害事象の発生はなし |
結論
- PPS解析において非劣性が示され、RH-01を用いた遠隔心臓リハビリの有効性が確認されました 。通院回数は有意に減少し、患者負担の軽減が示唆されました 。
- 通院群と比較して有害事象に明らかな差はなく、重大な安全性上の懸念はない
1. FAS未達と考察
臨床試験において、一部の解析集団や条件下で非劣性が証明されなかった点と、それに対する申請者側の考察は以下
主要評価項目(6分間歩行距離)におけるFAS解析の未達
- 最大の解析対象集団(FAS)において、6分間歩行距離の変化量の群間差は 2.9m (95%信頼区間: -27.9, 33.7) でした。信頼区間の下限値(-27.9m)が非劣性マージン(-23m)を下回ったため、FASでは統計学的な非劣性は検証されませんでした (p=0.061) 。
2. PPS達成と考察
- 除外症例の影響: 治験実施計画書に適合した集団(PPS)から除外された症例(コンプライアンス不良や長期休止など)の影響が大きかったと分析されています 。
- RH-01群の除外例: 4名が除外されましたが、そのうち2名は「関節リウマチ・整形外科疾患」や「視力障害(白内障・網膜剥離)」といった心臓以外の身体的理由により、歩行距離が伸びなかった(変化量 -28m, -15m)特殊な症例でした 。
- 対照群の除外例: 2名が除外されましたが、これらは長期休止があったにもかかわらず、合併症治療(コレステロール塞栓症)の成功や基礎体力により、結果的に歩行距離が大きく改善(+150m, +160m)
- これらの要因を除いたPPSでは非劣性が示されたため (p=0.023)、適切に使用されれば有効性は確保されていると結論付けています 。
ベースライン値が低い(重症度が高い)患者のサブグループ解析
- 一次登録時の6分間歩行距離が350m未満(身体機能が低い)集団において、RH-01群の改善幅(平均94.3m)は、通院群(平均113.4m)よりも小さい傾向が見られました 。
- この差について統計的な交互作用(群とベースライン値の関係)を確認したところ、有意な交互作用は認められず、統計学的には「重症度が高い患者においてRH-01が劣っている(または通院群が特に有利である)」とは言えず、ベースライン値の違いが試験全体の成否を左右する要因ではないと判断されています 。
仕事を理由としたリハビリの中断
- RH-01群において、リハビリ長期休止の理由に「仕事」を挙げた症例が2例見られ。「遠隔だとモチベーションが維持しにくいのではないか」という懸念に対し、通院群でも仕事を理由に脱落した症例が複数認められた。したがって、仕事による中断は遠隔リハビリ特有の問題ではなく、両群に共通する課題であると考察された。
対応(添付文書・ラベリングでの措置)
臨床試験の結果やリスクマネジメントの結果を踏まえ、以下のような警告・注意喚起が設定されています 。
| 項目 | 具体的な記載内容と対応意図 |
|---|---|
| 【警告】 |
緊急時の対応策をあらかじめ確認してください。
→ オンライン環境では医療者がそばにいないため、迅速な医療処置ができない可能性があります。 運動療法中は、常に状態を把握してください。 → 画面越しであるため、患者の急変に気づかないリスクを考慮し、最大限の注意を喚起しています。 |
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【使用上の注意】
(重要な基本的注意) |
異常発生時の措置
→ 直ちに適切な対応がとれる条件下で実施し、異常時は機器の作動を止めるなど、患者の安全を最優先するよう求めています。 総合的な判断の必要性 → 「本品によって得られた情報のみで判断しないでください」とし、臨床所見や他の検査結果と合わせて総合的に判断することを求めています(機器の検出漏れや誤検知リスクへの対応)。 |
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【使用上の注意】
(使用方法関連) |
音声確認とミュート時の注意
→ アラート音を聞き逃さないようPCの音声確認を必須とし、ミュートにする場合は画面上の情報を必ず確認するよう規定しています。 |
これらの記載により、臨床試験で懸念された点(通信環境への依存や、対面診療との違いによるリスク)を運用面でカバーする設計となっています。